秘蜜の秘め事
「どうして…?

ちゃんとバランスをとって食べないとダメだよ!」

そう言ったわたしに、
「俺は料理がヘタだから」

きぃちゃんは返した。

「と言うか、“教えてくれる人”がいなかったんだ」

きぃちゃんは伏せていた目をあげた。

「俺は…“あの人”――母親がいないんだ」

きぃちゃんは呟くように言った。

その言葉に、頭を鈍器で殴られたような感覚が襲った。

「――何、で…?」

呟くようにそう言ったわたしに、
「小さい頃、小学校の低学年の時に母親に捨てられたんだ。

その後養護施設に引き取られて、そこで2ヶ月暮らした後、父親のいるアメリカに引き取られた」
と、きぃちゃんが言った。

初めて聞いたきぃちゃんの出生の話に、わたしはどう言葉を返していいのかわからなくて、うつむいた。
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