秘蜜の秘め事
きぃちゃんはその時のことを思い出したと言うようにうつむいて、
「近所の人が不審に思って通報した警察に、俺は保護された。

その後は母親の親戚をたらい回しにされた末に、養護施設に預けられた。

施設で暮らし始めて、2ヶ月経ったくらいだったかな?

父親が迎えにきたんだ。

父親は俺の姿を見るなり、涙をボロボロこぼして、泣きながら俺を抱きしめた。

1人にさせてごめん、あの時お前を引き取っていればこんなことにならなかったのにって、泣きながら父親に謝られた。

父親は離婚した後アメリカに帰国して、不動産会社で働いてた。

俺のことを調べた警察が連絡して、事実を知って、日本にきたって言ってた。

父親に引き取られて、俺はアメリカに行った」

そこまで言って顔をあげたきぃちゃんは、わたしに視線を向けた。
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