秘蜜の秘め事
きぃちゃんのマンションを出ると、振り返った。

初めて聞いたきぃちゃんの話に、戸惑った。

だけど、どんな生い立ちを送っていたとしてもきぃちゃんはきぃちゃんだ。

「――きぃちゃんは、“大切な友達”だから…」

マンションに向かって呟くと、わたしは家に向かって歩き出した。

カバンの中の携帯電話が震えていた。

取り出して見てみると、真からメールがきていた。

『学校終わった?

早く帰ってきて、今日は梨衣の大好きなエビとブロッコリーのマカロニグラタンだから』

そんなことを送ってきた真に、わたしは笑った。

「真ったら…」

なんて呟いたけど、真は“大切な恋人”だ。

“大切な友達”と“大切な恋人”。

どちらも男だけど、わたしの“大切な人”であることには変わりはない。

そう思いながら、わたしは真と温かいご飯が待っている家へ足を向かわせた。


☆★第2部完☆★
< 324 / 440 >

この作品をシェア

pagetop