秘蜜の秘め事
「女性なんですよ」

「あ、そう」

「なかなかの美人ですよ」

「ほーん」

「影のある美人と言った方がいいですかね?」

知らん。

僕は相川の話に適当にあいづちを打ちながら聞き流していた。


その夜。

「えっ!?

相川さん、異動になったの!?」

僕の前にチキンソテーを置いた梨衣が驚いたと言うように聞き返した。

早いもので、3年前は大学1年生だった梨衣も無事に大学4年生に進級した。

今は卒業論文と就職活動に慌ただしい毎日を過ごしている。

「僕も今日急に聞かされたんだ。

何でも3日前に決まったんだって」

僕はスプーンでコーンスープをすくうと、それを口の中に入れた。
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