秘蜜の秘め事
「そうか」

梨衣がそれ以上話したくないと言うのを感じ、僕は話を終わらせた。

「異動になってもまたいつでも遊びにくるみたいなことを相川が言ってたぞ」

話を変えた。

「うーん、いつでも…はいいかな。

たまに顔を見せにくる程度でいいって」

梨衣がそう言ったので、
「まあ、それが1番ちょうどいいだろうね。

夫婦で泣きつきにこられても困るだけだし」

僕は返した。

「うんうん、そうだね」

僕たちは笑いあいながら、夕食を食べ進めた。

いつもと変わらない、平和な夕食。

それが、もうすぐ崩壊しそうになっていることを僕たちはまだ知らなかった。

崩壊までのカウントダウンは、もうすでに始まっていた。
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