秘蜜の秘め事
僕はあきらめたと言うように息を吐いた。

仕方ない、新しくきた担当も事情を話せばちゃんと理解してくれるはずだ。

あの相川だってちゃんと理解してくれたんだ。

僕は覚悟を決めると、新しくきた担当が待っている玄関に向かった。

ガチャッと、ドアを開ける。

先に視界に入ったのは、パーマがかかったミディアムの黒髪だ。

そこから顔に視線を向けると…驚いた。

「あっ…」

新しくきた担当――彼女も、僕の顔を見て驚いたようだった。

お互いの顔を見て、沈黙すること約…数分と言ったところだろうか?

彼女の唇が動く。

「――エー男?」

そのあだ名で呼ばれていたのは、高校時代のこと。

僕は、
「――ビー子、か?」

彼女の高校時代のあだ名を呼んだ。
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