秘蜜の秘め事
「あ、ごめん…。

いきなり、こんな話をして…」

ビー子は慌てたように僕に謝った。

「えっ…」

僕はどう返せばいいのかわからなかった。

「再会して早々、私…何やってるんだろ…。

ごめん!

今の話は聞かなかったことにして!」

ビー子は足元のカバンを持って、逃げるようにリビングを出た。

「えっ…あ、おい!」

バタンと、玄関のドアが閉まった。

「聞かなかったことにしろって…」

たった今聞いたあのヘビーな話を、どう聞かなかったことにしろと言うのだろう?

すっかり冷めてしまった飲みかけのカフェオレに、僕はどうすることもできなかった。
< 347 / 440 >

この作品をシェア

pagetop