秘蜜の秘め事
就職なんてすぐに決まるだろうと、そんな軽い気持ちで思ってたのがそもそもの間違いだった。

会社から返される“不採用”と言う文字に、現実の厳しさを思い知らされた。

今のところ、書類選考で落とされた会社は6件、一次試験で落とされた会社は3件、どうにか最終試験にまでこぎつけたけど落とされた会社は1件。

「わたしの何がいけないんだろう…」

わたしは息を吐いて、砂糖がたっぷり入ったミルクティーをすすった。

はあ、現実で甘いのはミルクティーだけか…。

カップを置くと、履歴書に視線を向ける。

3日も時間をかけて書いて、見直しだって何度もしたのに…。

そこに貼ってある顔写真なんて、至ってフツーだ。

駅前にある証明写真を撮る機械に800円も出して撮ってもらったと言うのに…。

「りっちゃん、元気出してよ。

俺までつらくなってくるよ」

きぃちゃんの励ましにもすっかりなれてしまった。
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