秘蜜の秘め事
周りにいた人たちが何事かと言うようにわたしに注目する。

わたしは手を前に出して謝るところを見せると、落とした携帯電話を拾った。

よかった、壊れてない。

わたしは気を落ち着かせると、携帯電話を耳に当てた。

「大丈夫?」

母の心配した声が聞こえた。

「あー…うん、突然だったから」

母が久しぶりに日本に帰ってくるのは…あれ?

いつだったのだろうか?

「そうね、最後に日本に帰ってきたのは梨衣が中学2年生の時だったもんね」

思い出せなくて戸惑っているわたしに、母が言った。

わたしが中学2年生の時、か…。

時の流れと言うものは早いものだと、改めて気づかされた。

「梨衣ももう大学生か…早いわね」

母がしみじみと言った。
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