秘蜜の秘め事
わたしは母の声を聞きながら、
「そうだね」
と、答えた。

「来週の…確か、水曜日に日本に帰るから」

「えっ…」

わたしは言葉が続かなかった。

来週の水曜日って、急じゃない?

「楽しみにしてるわよ」

楽しそうな母の声に、
「うん、待ってるね」

わたしは返すことができなかった。

「じゃ、来週ね」

言い終わったのと同時に、ガチャッと電話が切れた。

わたしは携帯電話を耳から離すと、パタンと閉じた。

来週の水曜日に日本に帰るって、急にも程があるよ…。
< 357 / 440 >

この作品をシェア

pagetop