秘蜜の秘め事
「エー男の前の担当だった相川さんから聞いたわ。

今、スランプなんだって?」

「ッ…」

相川のヤツ、余計なことをベラベラと…。

あいつの辞書には“プライバシー”と言う言葉がないのだろうか?

「あ、そうそう。

前作の『ロンリーチャップリン』の原稿読んだわ」

ビー子が思い出したと言うように言った。

「えっ…あれを、か?」

そう言った僕にビー子は笑って、
「作家生活10年目の記念に書いた作品だったんでしょう?」
と、言った。

「参ったな…」

恥ずかしくて、僕は呟いた。
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