秘蜜の秘め事
３年前、僕は恋愛小説家になって１０年目を迎えた。

相川が１０年目の記念に何かを書こうと言い出したのが、そもそもの発端だった。

僕は１０年目と言う節目を迎えてホッとしたのと同時に、これから先も気を引き締めて恋愛小説家を続けて行こうと決意した。

それで考えた話が『ロンリーチャップリン』だった。

作家になりたての頃の僕は環境が環境だったために、シリアス調のドロドロな大人恋愛ばかり書いていた。

初心を忘れないようにと言う思いを込めて、僕は２年半と言う時間をかけて『ロンリーチャップリン』を書きあげた。

それから、僕の作品の約束事――と言うよりも、こだわりと言った方が正しいかも知れない。

作品のタイトルをつける時、僕は３～５文字のタイトルをつけることにこだわっていた。

短く、覚えやすいことを意識してのことだった。

無事に１０年目を迎えたため、そのこだわりを変えて見ようと思い、５文字以上のタイトルをつけたのだった。
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