秘蜜の秘め事
「泣いちゃったわ」

ビー子が言った。

それが『ロンリーチャップリン』の感想だと気づいたのは、数秒後だった。

「読んでる間主人公の女性にずーっと共感してた。

私と同じ人生だから、共感しちゃったのかも」

ビー子は自嘲気味に笑った。

「そうか」

僕は答えた。

「もしかして…エー男は私がこんな人生を送ってたこと知ってたの?」

そう聞いてきたビー子に、
「まさか」

僕は首を横に振って答えた。

「再会するまで知らなかった。

本当に、何も」

「そうよね。

ジョーダンを言って悪かったわ」

ビー子はクスクスと笑った。

ジョーダンかよ…。

と言うか、ビー子はこんな性格だっただろうか?
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