秘蜜の秘め事
水曜日がどうかしたのだろうか?

「あ、そうだ」

僕は思い出した。

「説明会、どうだった?」

梨衣は今日ある企業の説明会に出かけていたのだ。

「それがさ…何か、ブラックっぽいんだ」

梨衣は呟くように答えた。

「ブラック企業、ってヤツか?」

僕はイワシの唐揚げを口に入れた。

「募集人数が400人だったのに対し、今日説明会にきた人はわたしを含めて8人だったの」

「そんな会社、こっちから願い下げをすればいい。

仮に内定をもらっても、第一志望の会社から内定をもらったとでも言って断ればいい。

ブラック企業なんかで働いてもいいことなんかないぞ」

僕はイワシの唐揚げを箸でつまむと、梨衣の口元に運んだ。
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