秘蜜の秘め事
何をそんなに水曜日にこだわっているのだろうか?

「梨衣、もしかして梨衣も水曜日に何かあるのか?」

そう聞いた僕に、梨衣はハッとしたように伏せていた目をあげた。

「うん、実は…ね」

梨衣は言いにくそうに言った。

「来週の水曜日に、お母さんがくるの。

お母さんが帰ってくるの、わたしが中学2年生の時以来なんだ。

真にお母さんを紹介したいし、お母さんに真を紹介したくって」

梨衣はポツリポツリと、照れくさそうに話した。

梨衣の母親のことは、彼女の話を聞いたり、写真を見たりしていたので知っていた。

だけど彼女の母親の方は、僕のことを知らないんだろうな。
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