秘蜜の秘め事
いずれ、僕も彼女の母親と顔をあわせる時がくるかも知れない。

「いいよ」

僕は言った。

「えっ?」

梨衣は訳がわからないと言うように首を傾げた。

「映画の約束は断るよ」

「でも、友達と…」

「そんなこと、別に気にするほどでもないだろ?

断られたくらいで怒るような小さいヤツだったら、こっちから願い下げすればいいだけの話だ」

梨衣は困ったように僕を見つめている。

「真も、久しぶりに友達と会うんでしょ?

今日電話で少し話したんだけど、お母さん1週間は日本にいるって言ってたから」

梨衣は呟くように言った。
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