秘蜜の秘め事
曲が変わったのと同時に、梨衣は僕と手をつないだ。

「わたしも真と一緒にこのバンドのライブに行きたかったなって思った」

梨衣が呟くように言った。

感じているんだと、僕は思った。

普段の僕らは、1回り以上もある年の差を気にしていない。

だけどこう言う時になると、1回り以上もある年の差を感じてしまう。

もし、僕が梨衣と同い年だったら。

もし、梨衣が僕と同い年だったら。

何かが違っていたのだろうか?

何かが変わっていたのだろうか?

その“何か”は、自分でもよくわからないけど。

僕らの間に流れた沈黙を、ヴォーカルの独特な声が埋める。

僕も彼のように沈黙を埋める代わりに、後ろから梨衣を抱きしめた。
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