秘蜜の秘め事
「真?」

突然抱きしめた僕を、梨衣が不思議そうに呼んだ。

「――好きだ」

僕は言った。

「えっ…何?」

梨衣が突然のことに戸惑っている。

突然のことに1番戸惑っていたのは、僕自身だった。

梨衣を抱きしめて、出てきた言葉が“好きだ”だったのかは、自分でもよくわからない。

本当に、突然だった。

恋愛を覚えたばかりの中高生かと、僕は思った。

「真」

梨衣は名前を呼んで、僕の胸にもたれかかった。

「わたしも好き」

そう言って梨衣は微笑んだ。
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