秘蜜の秘め事
「就職活動、うまく行かなかったのか?」

突っ伏して僕の方を見ようとしない梨衣に、僕は問いかけた。

梨衣は答えない。

その様子だと、正解と言った方がいいのかも知れない。

梨衣には悪いけど、僕は思った。

僕はソファーから腰をあげると、
「梨衣ちゃん?」

名前を呼んで梨衣に歩み寄った。

梨衣は返事をしなければ、僕の方を見ようともしなかった。

パッと、梨衣の顔があがる。

「お風呂入ってくる!」

梨衣は思い出したように言うと、椅子から立ちあがった。

パタパタとリビングを飛び出して、そのままバスルームの方に向かってしまった。
< 381 / 440 >

この作品をシェア

pagetop