秘蜜の秘め事

第4.5章~Rie~

――あなたにはもっとふさわしい人がいると思うわ

その言葉から逃げるように、わたしはバシャッと顔にお湯をかけた。

預けるように、湯船に躰を沈めた。

真と同じ名前の、同じ音の、新しい担当――古澤真琴さん。

その人と今日初めて会った。


いつものように授業を終えて大学から帰ってきた時のことだった。

自分の家に入ろうとした時、真の家のドアが開いた。

真だと思って声をかけようとしたわたしだったけど、出てきた人の顔を見たとたん、わたしは口を閉ざした。

「あら」

出てきた人は、スーツを着た年上の女の人だった。
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