秘蜜の秘め事
カップの中のカフェオレを口にしたその動作は、なれているようだった。

わたしは目の前に置かれているオレンジジュースに口をつけることができないでいた。

「お名前、聞いてなかったわね」

その人が言った。

「名前…」

これからつきあうことになるから聞いた方がいいかも知れない。

「私は古澤真琴」

「えっ…!?」

真と同じ名前に、わたしは驚いた。

驚いたわたしにその人はクスリと笑って、
「驚いた?

名前の音は一緒だけど、字は違うわよ」
と、つけくわえるように言った。
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