秘蜜の秘め事

第5章

その日以来、梨衣は何故か僕を避けるようになった。

夕食も食べ終わると、逃げるように自宅へ帰る。

理由を聞いても、
「卒論と就活で忙しいから」

それ以上のことも、それ以外のことも話してくれなかった。


何とも言えない気分で迎えた水曜日の夜は、とても暑かった。

出かける時に見たテレビのニュースでは、アナウンサーが気温が今年初めて30度を超えたと言っていた。

その日も、梨衣と顔をあわせることができなかった。

そう言えば、今日は彼女のお母さんがくる日だったことを思い出した。

梨衣も忙しいから仕方がない。

僕はそう言い聞かせることにして、ビー子との待ちあわせ場所へ向かった。
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