秘蜜の秘め事
待ちあわせ場所にはすでにビー子の姿があった。

会社の帰りなのか、ビー子の服装はスーツだった。

僕はスーツ姿のビー子に歩み寄ると、
「きたよ」

声をかけた。

「きてくれたんだ」

ビー子は僕の顔を見ると、笑った。

「きてくれたんだって…こいと言ったのは、ビー子の方だろう」

僕は返した。

約束したらくるのが、社会としての礼儀ではないだろうか。

「ドタキャンされたらどうしようと思ってたから」

ビー子は笑いながらそう言った。

「ドタキャンって…」

僕は何も返すことができなかった。
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