秘蜜の秘め事
「梨衣が戸惑っているのはお母さんもわかってる。

母娘なのに8年も離れてたから。

話したいことや話しにくいことだってあるかも知れない」

母の言葉が、わたしの胸の奥深くへ入って行くのがわかった。

「だけど…これだけは絶対に忘れないで欲しい。

――お母さんは、梨衣のどんな言葉でも受け入れる」

「――ッ…」

わたしは、閉ざしていた口を開いた。

「――わたし…今、つきあってる人がいるの」

そう言ったわたしに、
「うん」

母はうなずいて答えた。

「その人は38歳で、お母さんとは10歳も年が違うの」

「そう」

母は驚くことなく、ただうなずいて答えていた。
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