秘蜜の秘め事
わたしの頭の中を読んだと言うように、
「最近職場に新しく入ってきた若い女の子がその人の小説を読んでたの。

彼、日本ではすごく有名なんですって?」
と、母が言った。

「うん…」

わたしはうなずいて答えた。

何だ、職場の人が読んでいただけだったか…。

母が小説なんて読む訳ないよね…。

「失礼ね。

私だって小説くらい読むわよ」

「えっ…?」

今、わたしの頭の中読んだ?

ポカーンとなっているわたしに、
「自分の子供の考えているがわからない親なんている訳ないでしょ」
と、母が返した。

それはそうか…。

母は強しとは、よく言ったものである。
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