秘蜜の秘め事
「梨衣?」

せっけんの香りとわたしの名前を呼ぶ声に、わたしは後ろを振り返った。

「あっ…」

お風呂あがりの真と目があった。

下はスウェットを身につけているから大丈夫…じゃなくて!

「あっ…えっと、映画…」

「映画?」

「おもしろかった?」

そう聞いたわたしに、
「時代劇だったから内容がよくわからなかった」

真は持っていたバスタオルで濡れた髪をふいた。

「あのね、今さら聞くようで悪いんだけど…」

「うん」

「今日一緒に映画を見に行った人って…もしかして、古澤さん?」
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