秘蜜の秘め事
――わたし、今何を言ってたの?

勝手に問いつめて、勝手に決めつけて…わたしは、何がしたかったのだろうか?

「――ご、ごめんなさい…」

そう言ったその声は震えていて、まるで呟いているみたいだった。

「梨衣…」

真の声が、震えている。

わたしたちの間に流れているのは、恐ろしいくらいの沈黙だった。

その沈黙に押しつぶされるのが怖くて、
「――梨衣!?」

わたしは、真の呼ぶ声も聞かずにリビングを飛び出していた。

逃げるように真の家を出て、
「あら、梨衣」

母の声にお風呂からあがったんだと思ったのと同時に、自分の家に帰ってきたことを知った。
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