秘蜜の秘め事
今度は僕が驚く番だった。

「あの…」

「梨衣から話は聞きました」

ペコリと、彼女は小さく頭を下げた。

「梨衣の母の中園時子(ナカゾノトキコ)です」

彼女――時子さんは自分の名前を言った。

「古沢、真です」

僕も自分の名前を言った。

何故か、沈黙が流れた。

先に沈黙を破ったのは、
「梨衣と、おつきあいをされているそうですね」

時子さんの方からだった。

「はい」

僕は返事をした。

ちゃんと話をしてくれたんだと、思いながら。
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