秘蜜の秘め事
「梨衣さんが高校生の頃から、ずっとおつきあいをしています」

そう言った僕に、
「そうですか」

時子さんは呟くように返事した。

「驚かないん、ですか?」

不思議そうに言った僕に、
「どうしてですか?」

逆に不思議そうに返された。

「…自分の娘が、こんなどこの馬の骨とわからないような男とつきあってて…その…」

僕は一体、何が言いたいのだろうか?

「私は…」

僕の言葉をさえぎるように、時子さんが言った。

「私は、自分の娘には幸せな恋をして、幸せな結婚をして欲しいと思っているんです」
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