秘蜜の秘め事
「あの…頭を、あげてくれませんか?

僕、人に頭を下げられることになれていないので…」

申し訳なさそうに言った僕に、時子さんは下げていた頭をあげた。

僕は梨衣によく似た時子さんの目元を見つめた。

「約束します」

僕は言った。

「梨衣さんを、必ず幸せにします」

言い終えたのと同時に、ガタッと言う大きな音が聞こえた。

何事かと視線を向けて見ると、
「梨衣…!」

僕と時子さんの声がそろった。

僕らに見つかった梨衣は窓からそっと顔を出した。

梨衣はバツが悪そうな顔をしていた…のと同時に、目が潤んでいた。
< 417 / 440 >

この作品をシェア

pagetop