秘蜜の秘め事
「お母さんと、どんな話をしていたの?」

梨衣が言った。

「娘をよろしくお願いします、って言われた」

僕が答えると、
「そう」

梨衣は呟くように返事をした。

「梨衣、ビー子…じゃない、古澤さんのことなんだけどさ」

「うん」

返事をしてくれると言うことは、ちゃんと話を聞いてくれるみたいだった。

正直、また拒否をされたらどうしようと思っていた。

「本当に、ただの高校生時代の同級生なんだ。

それに、来週からまた担当が変わるみたいだし。

そもそも、今日映画を見に行ったのだって…試写会のチケットが余ったって言う、そんな理由で誘われただけなんだ」

「そう、なの?」

そう尋ねた梨衣に、
「そうだよ」

僕はうなずいた。
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