秘蜜の秘め事
ガチャッと、玄関からドアが開いた音がした。

「ただいまー」

真が帰ってきた。

「おかえりなさ…」

彼を出迎えに玄関に顔を出したわたしは驚いた。

真の手には紙袋があったのだ。

「えっ…ああ、これ…。

さっき、編集部の女性社員一同からもらったんだ」

真は気まずそうに呟くと、紙袋を持ちあげた。

バレンタインのかわいいデザインが施された紙袋だった。

仕方ないよね、時期も時期だし。

わたしたちはつきあっているけど、結婚はしていない訳だし。
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