秘蜜の秘め事
抱えあげられたまま連れて行かれたところは、寝室だった。

ここも彼らしく、モノトーンで統一されていた。

壊れ物を扱うように、古沢さんはわたしをベッドに下ろした。

「――古沢、さん…?」

端正な顔が、わたしを見下ろしている。

伸ばした彼の手が、わたしの髪をなでた。

「いい、かな?」

古沢さんが言った。

「――えっと…」

いいって、何が?

「このまま、進んでも」

進む――その意味は、わかった。
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