秘蜜の秘め事
――ああ、そうか。

理解した。

わたしは痛いだけだけど、古沢さんは必死なんだ。

古沢さんも、耐えているんだ。

「――ッ…!

入っ、た…!」

古沢さんは深呼吸をするように息を吐いた。

つられるように、わたしも息を吐く。

「梨衣…」

わたしの名前を呼んだその声は、吐息と共に消えてしまいそうだった。

「――古沢、さん…」

名前を呼んだら、
「“真”」

「…えっ?」

古沢さんと目があった。
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