青い猫の花嫁
沈黙を破り、先に逸らしたのは、彼の方だった。
それから小さくため息を零し眉間にシワを寄せる。
「……でも、困ったな。君を連れて帰らないと、俺も帰れない」
彼は顎に手を当てて、うーんと唸った。
「え……」
帰れない?
「てゆーか。そもそも君が俺を望んだんでしょ?なにをそんなに迷ってるのか意味がわからない。……とりあえず君が決心するまでは俺もここに居させてもらうから」
「……」
は?
まるで独り言のようにそう言った彼が、ひとり納得したようにキリッとその涼やかな目であたしを捕えた。
放心状態のあたし。
……なんで?
しれっとしたその態度に、言葉を失っていたまさにその時だった。
「真子ぉ?」
――ガチャ!
聞きなれた声と共に、ノックもなしにいきなり部屋の扉が開いた。