青い猫の花嫁
「……そうだ。さっき藤屋さんでお菓子を買ってきてもらったんです。どうですか?お茶でも」
そう言って立ち上がったのは、正宗さんだった。
場所を変えましょう。
と、さっさと出て行く彼の後を、トワに手を引かれてよろよろとついて行く。
なんか、すごい疲れたな……。
立ち上がって初めてわかった。
あたし、足が震えてる……。
そうして、あたし達は、あたたかな太陽の陽が差し込む部屋に来ていた。
開け放たれた縁側からは、綺麗に剪定されたお庭がよく見えた。
あの梅の花が見えて、傍にはしだれ桜にもその枝に満開の花を咲かせていた。
大きな庭池の中、色鮮やかな鯉が、優美に泳いでいて。
春のうららかな風が、髪をすき、頬を撫でた。
「はーい。これ廉次さん特製のお茶だよ~。熱いうちにどうぞ」
ハッとして庭から顔を上げると、目の前にお茶と、美味しそうなお茶菓子が運ばれてきた。
「ありがとうございます……」
「どうぞどうぞ。甘いものは心も体も癒してくれるからね」
……はい。と頷いて、目の前に座る爽子を見上げた。
「ねえ、爽子……。大丈夫?」
「え?」
あたしの質問に驚いた爽子は、弾かれるように顔を上げた。
正宗さんが何かしてから、明らかに爽子は疲れ切っていたんだ。