青い猫の花嫁
「……ちょっと疲れちゃたけど、平気」
「そっか。よかった」
爽子はそれだけ言うと、肩を落とした。
それから、あたしの事を覗き込むように見て、また視線を落とす。
いつもの爽子の明るさは、今はどこかへいってしまってる。
それも、そっか。
あれをあたしなんかに見られちゃったんだから……。
うさぎの形をした桜色のかわいいお茶菓子。
それを見つめていると、部屋の襖があいて廉次さんが顔を出した。
「真子ちゃん、ちょっといいかな」
「あ……はい」
廉次さんの後をついて、庭に出た。
お庭の中に、一本の古いしだれ桜があって、その下であたしを待っていたのは……
「正宗さん……」
濃いピンク色をしたその花を見上げていた正宗さんが、あたしに気付きその瞳を細めた。