青い猫の花嫁
彼らを結ぶモノ
穏やかな昼下がり。
どこからともなく、ひばりの囀りが聞こえて誘われるように空を仰いだ。
木々に囲まれた三國家から見上げた空は、どこまでも青く澄んでいて。
その青の中に、ヒラヒラと舞う小鳥を見つけ、思わず目を細めた。
「まずはどこから話しましょうか。と言っても、情報は限られるんです。私もすべてを知っているわけではありませんから……。でも、出来る限りの事を協力したいと思ってます。この忌まわしい約束事を、なんとかこれで終わりにしなくちゃいけませんからね」
正宗さんの声に、ハッとして視線を落とす。
「前にも言ってましたよね?その、終わらせるって。何を終わらせるんですか?」
そこで正宗さんもあたしを見つめた。
漆黒の瞳が、グッと細められる。
「十二支と猫が、物の怪憑きから解放されることです。その約束の時が来年の1月1日だと言われています。
現に、千年目の今年、十三人、全員揃った」
「今までは、揃わなかったんですか?」
「はい。必ず、誰かが欠けていたんです。本家の三國は十二支の物憑き、そして分家の藍原家には猫憑きが。その猫憑きが産まれる確率はわずかだったと聞いています」
「じゃ、じゃあ、どうしてトワだけ変身しちゃうんですか?十二支じゃないからですか?」
必死に頭を整理して、不思議だったことを聞いた。
「いいえ」
フルフルと首を振った正宗さん。
それから苦しそうにつぶやいた。
「それは、猫への罰です」
罰……?