青い猫の花嫁
「自分の私欲の為だけに、猫は願い事をしたんです。
それが発端で、他の十二支たちも運命を共にすることになった。
それを哀れに思った僕の先祖が、十二支たちだけに術をかけ、物の怪の姿になってしまわない印を施したんです」
正宗さんの、ご先祖様?
「それが先ほどの花見せです。 うなじにあったでしょう?桜の形をした印が。一年に一度、こうして術をかけ直し、トワ以外の者は、普通に日常を送っています。それだけで、彼らは他の人間となんら変わりはありませんから」
そう言って、正宗さんは目を伏せた。
変わらない。確かにそう、爽子も松田君も、なにも変わらない。
それなら……
「それなら、トワは……トワは何が違うって言うんですか?トワだって変わらないです!」
「……彼は猫憑きと言う運命を背負って産まれてしまった」
「……なんなんですか?その、猫憑きって……」
特別……。さっきナギさんが言っていた事。
それが、猫憑きだという事ははっきりした。
「猫に術がされなかったのは、報いを受けさるためだと思われます。
トワには、花見せの印がありませんから」
そんな……。
それじゃ、千年も前からずっと?