青い猫の花嫁
「真子ちゃーん!こっちこっち」
お昼時のオープンカフェにはすでにたくさんの人。
その人混みの中から、飛び跳ねるように手を挙げた爽子が見えた。
入り乱れる人たちを抜けて、やっとの思いでたどり着く。
でも、そこに松田君の姿が見えなかった。
「あれ?松田くんは?」
「ああ、修也は買い出し担当!席取っておかなきゃだったし」
「そうなんだ……、ありがとう」
……松田君。
なんだか今日は、チケット代とかお世話になりっぱなしだ。
いまだに姿の見えない松田君にお礼を言って、ストンと椅子に腰を落とした。
やっと座ったからか、急に疲れた気がした。
「どこも混んでるね……。トワ、何食べる?」
隣に座るトワを見上げながら言ったその時だった。
「おお、やっと来たんだ。俺らずっと待ってたんだぞぉ」
大きなため息を零しながら戻ってきた松田君の手には、二つ分のトレーが。
それを少し乱暴にテーブルに置きながら、「あー疲れた」なんて椅子に身を投げ出した。
「立花も藍原も、ホットドックでいいよな?ジュースは……ん、これがメロンソーダで、こっちがオレンジ。コーラは誰だ?」
「あたし、コーラ」
爽子が迷わずそれを受け取ると、幸せそうにストローをくわえた。