青い猫の花嫁
ちょっと、なんで?
見間違い?
うんん、違う。飛んでくる水しぶきからあたしを守るように覆いかぶさった影は、紛れもなくトワ。
目を見開いたあたしの額に、トワの淡い空色の髪が触れた。
彼の着ていたパーカーが頬をかすめる。
それはまるでスローモーション。
飛んでくる水しぶきも、揺れる髪も、なにもかも。
バシャ―――ン!
「……」
「……」
次の瞬間には、あたしの膝の上は見覚えのある蒼穹の猫がいて。
彼の着ていた服が、地面にハラリと落ちた。
わあああああ!
きゃあああ!
会場を包む、歓喜の声。
大きな拍手が場内を包む。
「トワ……なんで……」
「……」
茫然と膝の上の猫を見つめていると、トンと肩を叩かれて、弾かれるように顔を上げた。