青い猫の花嫁
「あ、えっと、こんにちは!その……」
「真子。立花真子。郁くんもこの学校だったんだ!」
「はい。立花、先輩……」
オズオズと頷いた郁くん。
失礼かもしれないけど、勝手に彼に親近感を持っていた。
身長がそれほど変わらないからだろうか。
って、それは男の子に対して失礼だよね。うんうん。
「んー、そんなに固くなくてもいいよ?真子って呼んでね」
「えっ、あ……真子、さん」
「なぁに?」
まだ固いけど、いいや。
素直に名前を呼んでくれた事が嬉しくて、ニコニコと首を傾げると、驚いたように目を見開いた郁くんは、真っ赤になって俯いてしまった。
ん?
キョトンとしていると、松田くんが可笑しそうに郁くんの肩をポンとたたく。
「おお、郁のブレザー姿、違和感あるなぁ」
「しゅうくん、やめてよ子ども扱いするの」
クシャクシャと郁くんの髪を撫でていた松田くん。
郁くんは煩わしそうに、それを手で払いのけた。
松田君はそれでも笑顔を崩さずに「なんだよ、反抗期?」なんて笑っていた。