青い猫の花嫁
「あ、そうそう。これから藍原んちに行こうと思ってんだけど、郁は家がどこか知ってる?」
「え?トワくんち?」
「うん。知ってる?」
何度も瞬きを繰り返す郁くんの瞳が、不意に松田君から逸れた。
それはあたし達の後ろ。
誰かいるの?
振り返ったその時、またも背中に軽い衝撃を受けた。
「わっ」
この感触は……。
「真子ちゃーーーん!教室行ったらいないから、びっくりしたよぉ。もお、修也!真子ちゃん勝手に連れまわさないでよね」
キッと隣にいる松田くんを見上げた爽子だ。
「なんだよ、サワ。ヤキモチは見苦しいぞ」
「……。修也、ケンカ売ってる?」
ぷーっと頬を膨らませた爽子。
あたしは2人の間で板挟み状態のまま、じっとしてるしかなくて。
「売ってないよ。そんな事したら俺、無事にいられる自信ないし」
なんだ、ただのラブ会話か……。
ふぅって思わずため息が出ちゃう。
でもその時だった。
物凄いオーラがさらに背後から現れた。