青い猫の花嫁
トワのおじいさん
電車を乗り継いで、降り立った場所は全然知らない町で。
人の少ないホームを出て、駅前に行くとさびれた商店街があたし達を迎えてくれた。
「……わぁ、なんか寂しいとこだね」
並んで歩く爽子が、ポツリと零した言葉。
確かに……。
昼間だというのに、人があまりいない。
それどころか、商店街のはずが閉まっているお店がほとんどだった。
山間に町をつくった、そんな感じだった。
「ここに……トワの家があるの?」
「はい。トワくんの家、と言いますか……トワくんのおじいさんの家です」
立ち止まっていたあたし達を追い越しながら、郁くんはそう言って、商店街とは反対側の道を目指す。
ご両親がいないトワは、5歳の頃からこっちで暮らしているらしかった。
狭い路地を行く。
長くて緩やかな坂道が続いていて、軽く息切れをしてしまう。
「ほら、見えてきました。あそこです!」
郁くんが振り返って、真っ直ぐに指差した。
ああ、やっと……、やっと着いた……。