青い猫の花嫁

「って、あそこっ!!?」

「はい。もう少しです」


薄く笑った郁くんは、さっさと先を急ぐ。

ちょ、ちょっと待ってよ……。
まだ全然先だよ、郁くん……。


それは、木々の間から見える山の切り立った崖の上に存在していた。
新緑の間に見える紅い屋根は、とても目立っている。



「あーくそ。めんどくせぇな」


今まで黙ってついて着ていたカナトくんが「ッチ!」って舌打ちをした。


ん?

あれ?


カナト君を見たまま、フリーズ。


ちょ、ちょ、ちょ……。


ちょっと待ってよ、見間違い?

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