青い猫の花嫁
ギュッと目を閉じて、それから恐る恐る今見た光景を確認する。
間違いない!
カナト君が、爽子の手を引いているっ!!?
「…………」
振り返ったまま立ち止まったあたし。
「どうした?疲れた?」
そんな事を言いながら、いつものように穏やかな笑みを零し「ん?」なんてあたしを覗き込んだ松田くん。
「え、だって……だって、爽子が……か、カナトくんと……」
フルフルと震える手で、指差してしまった。
松田くんは「え?」とその先を追って、真顔であたしを見下ろした。
「ビビるだろ?」
「うん。ビビった……」
「あのふたりさ、最近やっと付き合えたらしいんだけど。カナトの溺愛っぷりったら。もうあれはマジおかん」
ふんふん。
て、ええええっ!!!?
「さ、爽子たち、付き合ってるのぉぉぉっ!?」
思わず大声で叫んで、松田くんも驚いたように肩を震わせた。
「え、なに、どうした?」
「……」
「ま、真子ちゃん?」
「んだよ、ワリィかよ!」
ギロリ。
今度はあの時の総司朗さんよりも怖い顔のカナトくんに、身じろぎしてしまう。
「わ、悪くないけど……あたしてっきり爽子は松田君と付き合ってるもんだと……」
しどろもどろになりながら、なんとかそう言うと、カナトくんはもっと怖い顔になる。
ひえええ!
だって、仕方ないでしょ?本当にそう思ってたんだから!