青い猫の花嫁

「どういう意味?」


ソファに背中を預けながら、松田君は含み笑いを零す。


「それは、立花が自分で確認してください」

「ええ?」

「俺はそこまでお人好しじゃないんで」



……。松田君、イジワル。

ジトーッと睨むと、あたしは意を決して立ち上がった。

気になるなら、ちゃんと聞かないと!


えっと、トワ……どこに行ったのかな。
自分の部屋、とかかな。

おじいさんに聞いて……。


ヒョコっとキッチンを覗くと、そこには真っ赤なお肉がテーブルに転がっていた。


「……」


わ、でっかい。
これがさっき言ってた、イノシシのお肉……。

あまりの大きさに感心していると、お肉の向こう側からおじいさんが顔を覗かせた。


「ああ、真子ちゃん。ちょうどよかった。こっちこっち」

「えっ、あ、はい!」


にこやかに手招きされて、慌てて駆け寄った。


「ちょっと手伝ってくれるかな?ワシひとりだと間に合いそうにない」

「はい」


コクリと頷いて、ハッとした。

あ、そうだ。トワは……。


「トワなら、大丈夫だよ」

「え?」


真っ赤なお肉に包丁を入れるおじいさん。
あたしの言葉が分かったようにそう言ったから、思わず目を見張った。


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