青い猫の花嫁
ヤキモチの理由
「これがイノシシか……。マジうめぇ!」
見た事もないほど満面の笑みを浮かべたカナトくん。
驚いて、目を見開いていると、手にしたお皿の上にお肉が飛び込んできた。
「ほら、ちゃんと食えよ」
「あ、うん。ありがとう」
隣に座る松田君が、ニコリと笑った。
「ほら、郁。お前背ぇ低いんだから」
「……」
無言の郁くんは、それでも何か言いたそうに松田君を睨んだ。
「……、修也さ、お母さんみたいだよ~」
「俺よりもカナトの方がおかんだろ」
爽子のお皿に柔らかく煮えた白菜を乗せたところで、カナトくんがピクリと固まった。
「……修也。オメェちょっと会わねぇ間に、ヤなヤツになったなぁ」
「あはは。なにそれ褒め言葉?」
松田君……、なんかちょっとずつあたしの中でキャラ崩壊が……。
楽しそうに笑うその笑顔は、いままでと何もかわらないんだけど……。
時折笑顔の裏側が……。