青い猫の花嫁
一気に現実に引き戻された感じ。
ハッとして声のした方へ顔を上げると、そこにいたのは、クラスメイト。
「松田くん……」
「おはよ」
「お、おはよ……」
ニコニコと、春みたいな柔らかな空気をまとってあたし達に歩み寄ってくる彼。
でも、そんな彼にあたしはどんな顔を向けていいのかわからずに、ぎこちない笑顔を返す事しか出来なかった。
「ああ。ごめん、俺邪魔しちゃったかな?」
そんな態度に気付くはずもなく、松田くんはあたしの背後に視線を送った。
え?と彼の視線の先を追うと、そこには腕を組んでジッと松田くんを見つめるトワがいて。
ぎゃあ!
そうだった、今はトワがいるんだった。
慌てて説明しようとして、言葉を飲みこんだ。
そんな事する必要ないんだ。
だって、トワが記憶操作してるんだから。
あたし達がそう言う関係だって事は、きっとみんなが知ってる事なんだよね。
口ごもっていると、松田くんが口を開いた。
「……えっと、誰?見ない顔だけど、転校生?」
「え?」
驚いたような声。
松田君を見ると、その目を見開いていてしかもあたしと、トワを交互に眺めていた。
し、知らないの?
なんで?