青い猫の花嫁
この部屋……。
間違いないよね。
―――コンコン
一応、ノックをする。
みんな寝てるはずだし、静かに、でも急いで走ってきた。
弾む息を整えようと、必死に深く息を吸ってみる。
でも、余計にドキドキして苦しくなった。
「……」
返事はない。
よ、よし!
意を決してドアノブを掴んだその時だった。
ガチャリ!
「わっ」
思いのほかドアが軽く開いて、思わず前のめりに部屋に飛び込んでしまった。
「……。真子、なにしてるの」
へ?
飛び込んだ先、それはトワの腕の中。
あたしを受け止めるように、しっかりと肩を支えたトワは呆れたように目を細めた。
「ひゃっ、むぐぐ」
驚きのあまり叫びそうになったあたしの口が、トワの手で塞がれた。
「……」
う、うそ……トワと話したくてここまで来たけど、ここまでは予想外。
トワはあいてる手で、部屋の扉を閉めると、そっとあたしを解放した。
「あ、あのねトワ……」
口をついて出た言葉は、トワが背を向けた事で行き場をなくして宙に消えた。
ドクン
あ、また。
また、心臓が鈍く鳴く。